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今月CSで放映中の松竹映画三千本記念作品「三羽烏三代記」(1959年)、オールスターによる明朗娯楽作品は気楽に見ることが出来るので何度見ても楽しいですね。
ストーリー的には、鳥篭から飛び出したお姫様のつかの間のアバンチュールということで、「ローマの休日」ならぬ「東京の休日」というところですが、それよりも何よりも豪華な顔合わせが見ていて楽しい。佐分利信・上原謙・佐野周二が揃って顔を合わせた三羽烏作品としては最後の映画でしょうか。
元祖松竹三羽烏に加え、佐田啓二・高橋貞二・大木実のコミカルな演技が愉快。岡田茉莉子・小山明子・高千穂ひづるなど女優陣とのユーモラスなやりとりも楽しめる。
佐野周二の恐妻振りも可笑しい。三宅邦子が桑野みゆきに小言を云うシーンは、「新女性問答」での三宅邦子と桑野通子の競演シーンを思い起こしてしまいました。
佐分利信・高峰三枝子のラブロマンスは「暖流」などの共演作品を見てきたオールドファンへのサービスでしょうか。
以前NHKBSで録画保存していたものを今まで見ていたのですが、残念ながらトリミング版でした。今回のCS放映はオリジナルのシネマスコープ版。若手三羽烏が隅田川沿いをサイクリングするシーン背景のワイドスケール感はやはり素晴らしいものがありました。
一際目立つ建物は浅草松屋、そしてかまぼこ型体育館(現在建替えられて台東リバーサイドスポーツセンター)位で、高速道路もなく低層の家並みが連なる広々とした隅田川沿いのパノラマは昭和三十年代の東京風景を堪能させてくれます。
「空かける花嫁」での高橋貞二・有馬稲子のスカイクルーザー搭乗シーンの回転する背景、浅草・隅田川界隈の風景も興味深いものがありました。
こうしたシーンはトリミング版では台無しですね。映画館の大スクリーンでも見てみたくなります。
三羽烏が共演する最初の作品は「新道」(1936年)だと思いますが、三人が顔を合わせるシーンはなかったですね。
代表作はやはり戦前のモダン・ハイセンス・ラブコメの傑作「婚約三羽烏」(1937年・島津保次郎監督)でしょうね。
意外と面白かったのが「元気で行かうよ」(1941年)。佐野周二・田中絹代の意地の張り合いからの恋模様も面白いし、なによりも佐野周二・上原謙コンビのやりとりや会話が愉快で笑わせてくれるのが楽しい。田中絹代の弟で給仕役の子役が結構いい味出していて印象に残る。
佐分利信は二人の上司役、その奥さん役が桑野通子で出番は少ないがオモロイ役柄。佐野周二にしつこくお見合いを勧めるいわゆるお節介な“お見合いおばさん”的な役どころだが、桑野通子だと上品で世話好きな“お見合い奥様”という感じで好印象。でも佐野周二に煙たがられるところが可笑しい。最後は気を利かして佐野周二の意中の人(田中絹代)との見合いを勧めるという“落ち”が楽しい。
笠智衆の悪役親方振りも見所のひとつ。
東宝のリメイク版「婚約三羽烏」(1956年、宝田明・小泉博・小林桂樹)でもオールド三羽烏が揃って出演しているのが楽しいし、さらには原節子、高峰三枝子の特別出演もありサービス満点。中でも可笑しかったのが、社長室に掛けられている先代社長の遺影で、その写真の主はナントナント島津保次郎監督。社長役の上原謙にその写真を見ながら『(先代社長も)さぞかし喜んでおられるだろう』という台詞を言わせるところは、東宝作品スタッフの島津監督へのオマージュというところでしょうか。
社長シリーズでも先代社長として河村黎吉の写真が飾られ、森繁社長が挨拶しているお馴染みのシーンがありますね。蛇足ですが、当方が社長シリーズを見始めた頃、「三等重役」も「社長三代記」もまだ見ておらず、河村黎吉のことも知りませんでした。そのため先代社長の写真の主は、厳めしい人相から東野英治郎だと長い間勘違いして見ておりまして、ライバル会社の社長役等で東野英治郎が出演している作品を見て、なんで二役やらせているのだろうかと疑問に思っていました(汗)。
その森繁社長も大往生で逝去されてしまいました。寂しくなります。
当方も追悼番組や追悼放映作品をテレビで見ながら故人を偲んでおります。
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